夢を見ていた




季節は冬。これからいっそうと寒くなるであろう。冬。


雪は降っていなかった。



変わりに、降り注ぐ月光があった。





なぁ、もういいよな。
べつに負けを認めるつもりはない。
はじめから駆け引きなどしているつもりはない。
天地が引っくり返ったって、もう結果が変わることはない。
才もなく、努力もしない、そんなやつのひと時の夢。
すごく幸せで今のこと考えたくもなくなる夢。
ぎりぎりまで粘って考えたけど、考えれば考えるほど泥沼に嵌る。
るりいろの夜明けはすぐそこまで来ている。


けど、夢から覚めたくはなかった。
どうしても、幸せな幻想をつかんでいたかった。
あらたなる幻を求めてさまよい歩く。
ほかの物など、何もいらなかった。
だいじな物をなくしてしまった俺には。




――夢はもう、覚めかけていた。





Kanonあゆルートのお話を交えて心境。
気づく人は気づく(二つくらいの意味で。